ぐんま

伊香保の温泉街には干支のプレートがうまっている

とある休日、群馬県の伊香保温泉に来た時のこと。

温泉街を散策していると、地面に変なプレートを見つけた。

躍動感あふれすぎて、後ろ足と前足が絡まりそうなウサギのプレートだ。

前足に体重かかりすぎて、靭帯が伸びてしまわないか心配になる。

「地面にウサギが書かれているなんて何か意味があるのだだろうか?」

ふと思い、近くの店の人に聞いてみた。

「あそこにある、ウサギの絵って何なんですか?」

「伊香保の温泉街には干支のプレートがあって、そのうちの一つだよ。」

何だかよくわからないが、温泉街に干支のプレートが埋められているらしい。

よく見ると、兎じゃなくて卯と書いている。干支で間違いない。

個人的な話で恐縮なのだけど、ボクは何かを全て集める行為が好きだ。スタンプラリーが好きなのだ。

観光地のスタンプラリーは集めてしまうし、温泉地の共同浴場は全部回ってしまう。

バイキングのメニューも全部食べないと気が済まない。

なので、干支のプレートがあると聞いた以上、全部集めたくなってしまう。

今いるのはマップに書いている石段街とよばれる温泉街の中心地だ。

石段は365段あるので、上りながら干支集めをしていく。

おそらく、何かの法則性に従って、埋まっているはずだ。

せっかくやるなら、干支を使っている理由も探ってみよう。

石段を上りながら、干支を集めていく

階段を上った踊り場のような場所の左右に酉(トリ)と亥(イノシシ)が現れた。

365段のうち166段上ったところだ。

十二支であれば、子と丑から始まるのかなと思っていたが違った。

さらに、10段程登ると踊り場に戌(イヌ)と午(ウマ)が現れた。

イヌの顔は凛々しくおそらく血統書付きだということが分かる。

ウマは枠が馬面になっている。戌と合わせればいいのに。

また10段程登ると、子(ネズミ)と巳(ヘビ)が出てきた。

ネズミもヘビもしっぽが枠から飛びているが、製作者の遊び心だろうか。

ここまでかなりのハイペースだ。思った以上に早く干支を集め終わってしまうかもしれない。

いきなりデカいのが出てきた。

辰だ。素直にカッコいい。日本昔話タイプの龍だ。

干支の中で個人的にいち番好きなのが辰だ。

架空の生き物で空を飛べるところがいい。

心なしか他の干支よりもプレートが輝いて見える。

ちょうど、220段付近で寅(トラ)が現れた。

365段のうち、2/3のところまで来たかたちだ。

しっぽがプレートの枠を突き破っている。しかも、黒っぽい瘴気をまとっている。なんだか、黒いエネルギー波を飛ばしてきそうだ。

子と巳ははみ出ちゃいましたって感じだったけど、寅は意図的に枠を突き破ったかのような印象を受ける。

さすがトラ。豪快さを感じる。

次に現れたのは、卯(ウサギ)と未(ヒツジ)だ。

未(ヒツジ)の横にある植物の方がヒツジみたいだなとか余計なことを考えていたせいで、ちゃんとした写真を撮れなかった。

さらに登っていくと、見返り美人図みたいな丑が出てくる。

かなりシュッとしている。モデルタイプの丑だ。

トリを飾るのは、300段目に現れた申(サル)だ。

親子になっていて、なんだかほほえましい気分になる。

干支を全部あつめたけど、法則性は分からない。

これで12種類全部の干支を集めた。

分かったことは、変な順番で干支を配置しているってことだった。

マップに干支の場所を書いてみた。

干支の順番はバラバラだ。そもそも、何で干支なのだろうか。

観光案内所で聞いてみることにした。

観光案内所で聞いてみることに

観光協会があるので、ちょっと干支のことについて聞いてみた。

ーーー「何で干支を埋めてるんですか?観光用なのでしょうか?」

「江戸時代に伊香保には関所があって、それを12人の大屋と呼ばれる人たちが交代で見張っていたんだよね。」

「当番してた人たちは干支を名乗っていたんだ。」

「今でも記録として、干支を名乗っていた人たちの住居跡にそれぞれの干支を埋めている。」

—-「たまたま、12人でやっていたから干支を使ったんですか?」

「1ヵ月ごとに交代していたから12人なんじゃないかな。」

なるほど、1年の担当を割りふるために干支を使ったのか。いかにも日本っぽい。

なんだか、教会の人もおつかれ気味だ。
口元のシワが段々と深くなっている。

とりあえず質問は切り上げた。

聞いてみて分かったことは3点。

・江戸時代の偉い人達が干支を名乗っていたこと

・干支を名乗る人たちが、1か月交代で関所の見張りをしていたこと

・屋敷跡にそれぞれが名乗っていた干支のプレートを設置していること

何となく調べ始めた干支のプレートだけど、歴史と深く繋がっていることが分かった。

温泉の帰り道に図書館で調べてみた

温泉街から帰る途中に図書館があったので、少し歴史的な背景を調べてみた。

伊香保温泉の元湯を引ける権利を持っているのが大屋で、14人いることが分かった。

14人のうち、12人が干支で2人は乾と坤らしい。

へぇーと思うと同時に、あとの2人はどうなったんだ。追放されたのかなと疑問に思う。

大屋は村政も握っていたことや大屋同士で争っていた歴史があることも分かったが、乾と坤についてはよく分からなかった。

温泉につかるくらいのライトな感覚で調べていたが、調べるほど歴史の沼に沈んでいく感じがある。

おもしろいんだけど、分からないことが多い。

おわりに

温泉地と言うとライトな観光のイメージもあるが、歴史のある場所でもあるんだなと思った。

プレートのような何気ないものでも、深く歴史と紐づいていることが分かって面白かった。

今後は、14人の中から12人が選ばれた理由、干支をどうやってつけたのか、を調べていきたい。

 

 

 

 

ABOUT ME
たんぺい
群馬在住のフリーライター。まんぷくトラベラーとして巡った全国のご当地グルメを記録しています。

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