とある休日の午前中。片側1車線の道路を走っていると、なにやらいかがわしい看板が。
焼きまんじゅうで、スケベ。はて、何のお店だろう。
焼きまんじゅうは食べ物のはず。だからスケベとは結びつかない。
でも看板には和風なフォントで力強く、助平屋と書かれている。
もしかしてお店に入ったら、美女だらけのパライソ(楽園)が広がっていたりするのだろうか。
あまりにも気になるので、店へ入ることにした。
店内に入ると、甘さの混じった炭の香りにつつまれた。残念ながら、普通の焼きまんじゅう屋のようだ。
顔を上げて、天井近くの壁にかかったメニューを見てみる。
抹茶・ごま・きなこ・マヨネーズと、内臓へフルスイングしそうなメニューが並ぶ。
うん?え?マヨネーズ?
マヨネーズがある。
なんかマヨネーズだけ毛色が違わないか。ひとつだけ甘くないトッピング。ちょっと違和感がある。
まあいいや。
じっとメニューを見ていると久しぶりに焼きまんじゅうを食べたくなってきた。
「でも、弱ったな。」
まだ11時にもなっていない。お店で食べて行きたいけど、まだお腹が空いていない。いますぐに焼きまんじゅうを食べるのには難しいコンディションだ。
焼きまんじゅうは、まんじゅうという概念を超越した食べ物だ。ボリューム的な意味で。
アンコの入った普通のまんじゅうが2口サイズだとすると、8口は必要になる。しかも、その大きいまんじゅうが3個も4個も連なっている。大きくて量も多いので、お腹に十分な空きがないと食べきれない。普通のまんじゅうはお菓子だが、焼きまんじゅうは主食といってもいい。
「まあ家で食べればいいか……」
さいわいにも助平屋ではテイクアウトできるので、買って帰ることにした。
キッチンでキビキビと働いているおばあちゃんに食券を渡した15分後。
できたての焼きまんじゅうであたたかくなったプラスチックパックを受け取り、店を出た。
ちなみに、店名の助平屋の由来。
まんじゅうの膨らみと妊娠している女性のお腹のふくらみをかけたものらしい。
元々、すけべと表記していたが、戦時中に当局からクレームがついて漢字にしたとのこと。
正直、戦時中どころか今の時代でもアウトだと思う。まあでも、もう一つの意味として、平らに人に接して、助けるという意味もあるから、いいのか。
というか、すけべという意味で店名つけたの、かなり驚く。助兵衛(すけへえ)さんが創業したとか、何かの名前から取ってるのかと思っていた。
すけべ、そのまんまの意味は、さすがに予想外。
バッターボックスに立ち、100キロ内角低めのストレートを予想してたら、300キロのど真ん中ストレートをくらった気分だ。バリーボンズでも打てない豪速球。度肝を抜かされるとはこのことだろう。
さて、家に帰ったところで実食。
砂糖の甘みがガツンと来るが、そのダイレクトな甘さの奥に味噌の塩味と旨味が隠れていて、かなり深みのある味になっている。
ひと口目はちょっと濃すぎるなと感じるけど、その濃さに慣れてくると、どんどん食べたくなるタイプの味。これはおいしい。
ちなみにこの焼きまんじゅうのタレに醬油は使ってない。
助平屋の焼きまんじゅうは一度食べると、クセになる。
今度は店内でできたてを食べてみたい。
・店名:助平屋
・ホームページ:助平屋 (sukebeya.com)
・料金:250円/1串(普通の焼きまんじゅう)、280円/1串(トッピングあり)
・住所:群馬県太田市新田木崎町526-11
・電話番号:0276-56-0049
・営業時間:9:30~17:00
・定休日:毎週月曜日(祝日の場合は火曜日)