サウナ・銭湯

「薪サウナで毎日ととのえるように」理想のサウナを作るために群馬に移住した青年とは

サウナブームになって久しい。

全国各地で特徴あるサウナが生まれており、サウナ好きは新たなサウナを求めて全国を旅している。

群馬県でも、珍しいサウナ専門店が誕生する。それは、施設で体験できる薪サウナ。薪サウナとは、心地のいい木の香り、パチパチと薪がはじける音を体感しながら、やわらかい熱で身体の芯まであたたまるサウナだ。山やキャンプ場や湖の近くで、川の水風呂とともに体験できることが多く、屋内の施設で体験できるお店はほとんどない。

お店を手がけるのは、「大好きなサウナを作りたい」という想いが高じて、会社を辞め、福井から群馬に移住した若林 優貴さん。スーパー銭湯や温泉文化が強く、サウナ文化が根づいていない群馬に着目し、ゼロからサウナ作りを始めた。

なぜサウナ作りを始めたのか、どんなサウナを作ろうとしているのか、その軌跡について若林さんに話をうかがった。

「非日常の薪サウナを日常に」好きが高じて理想のサウナ作りに挑戦

「サウナが大好きなんです。サウナを作るのに、それ以外の理由はありません」

こう語る若林さんがサウナを好きにきっかけは、出張の空き時間に訪れたタイムズ スパ・レスタでのサウナ体験だった。オートロウリュのついているサウナ室で身体を暖め、青色のLEDで彩られた深さのある水風呂に入った後にイスに寝転ぶと、これまでの人生で体験したことのない浮遊感のある感覚を味わった。初めてのととのいだった。

その後、各地のサウナ施設を巡り、100℃を超えるサウナや自然の中でのアウトドアサウナを味わう内に、「サウナが好き」という気持ちがどんどん大きくなり、いつかサウナを作りたいという気持ちが出てきた。そして好きを抑えられなくなり、自分でサウナを作ることを決めた。好きという気持ちだけで、施設を作りだす人はほとんどいない。それだけに、若林さんのサウナに対する想いの大きさがわかる。

そして、若林さんは、自分で作るサウナのコンセプトを決めた。

「サウナ施設を作るにあたって考えたのが、薪サウナです。色んな施設を回って、自然の中で味わった薪ストーブのサウナが気持ちよくて。ただ、薪ストーブのサウナは予約して、遠征しないと味えないことが多くて。「山には行かず、予約なしに薪サウナに入れたらうれしいだろうな」と考え、薪サウナをコンセプトにした施設を作ることにしました」

薪サウナを作ることを決めた若林さんは、サウナ作りと並行して、熱波師の修行も始める。各地のサウナを巡り、熱波師によるアウフグースのよさを体験したことで、「理想のサウナではサービス面の充実も不可欠。それなら支配人である自分が熱波師になって、パフォーマンスでお客さんを楽ませたい」と考えたからだ。もちろん熱波師の修行もゼロからのスタートである。

「まず、横浜にある『ファンタジーサウナ&スパおふろの国』というお店で熱波師のセミナーを受けました。ここではアウフグースの基本やタオルまわし、お客さんとのコニュニケーションのとりかたを学ばせていただきました。いわゆる「熱波師検定B」ですね。つぎに、熱波師であり、講師としても活動されている『みんなの増本』さんから、パフォーマンスについて学ばせていただきました。増本さんは、埼玉にある『ザ・ベッド&スパ 所沢』というお店でアウフグースの講習をひらかれていて、YOUTUBEでも動画配信をされています。講習を受けたり、動画で勉強したりすることで、アウフグースの技術をあげることができました。でも、まだまだです。もっともっと技術を磨いていきたいです」

若林さんの熱波師ネームは、“ねっぱやし”。もちろん苗字由来の名前だ。サウナ作りと並行して、技を磨くために関東のサウナ施設を中心に熱波師の活動を行っている。

理想のサウナ作りに向けて着実に準備を進めているように見える若林さんだが、サウナ作りの経験はない。施設作りならではの困難もあったという。

サウナ作りを開始するも苦難がつづく

理想のサウナに向かって、走り続ける若林さんではあったが、初めてのサウナ作りでの困難も大きかった。

「ゼロから何もわからない状態でサウナ作りを始めたので、本当にきつかったです。お金がどれくらいかかるかも分からなくて。建設会社や内装工事を請け負ってくれる会社もなかなか見つかりませんでした。会社の設立もロゴ作りも手探りでしたし、分からないこと、うまくいかないことだらけで、つらかったです。「本当にサウナを作れるのかな?』」という不安も強くて、立ち止まりそうになることもありました。ただ、サウナを通じて出会った人や熱波師の仲間が、会うたびに応援してくれるんですよね。本当に救われました。応援してくれる人たちの期待にしっかり応えていいサウナを作りたいです」

情熱が大きくても、初めての取り組みは困難が伴う。施設づくりという大規模なプロジェクトであれば、なおさらだ。若林さんは、サウナ作りのプレッシャーで押し潰されそうになるも、サウナを通して出会った仲間に助けられた。

さらに、若林さんはクラウドファンディングにも挑戦する。クラウドファンディングは募集終了まで17日を残して達成。若林さんの熱量を応援したいと思う人たちからの応援が集まり、目標達成後も、支援者、支援金額を増やし、当初の目標金額を大幅に越え、成功に終わった。

そして、クラウドファンディングの成功を受け、これから店舗を作り込んでいくことになる。

最高のホームサウナを目指した毎日サウナ

「家の近くにあるお店、いわゆるホームサウナが重要だと思うんです。毎日のサウナが、とても気持ちのいいサウナになれば最高ですよね。毎日、最高に、気軽に、ととのうことのできるお店を作りたい。そんな思いで、施設の名前を「毎日サウナ」にしました。特徴は、薪サウナに1時間ごとのアウフグースサービス、2種類の水風呂です。自分でも作っていてワクワクしています」

サウナ好きがワクワクしながら作る毎日サウナ。どんなサウナになるか今から楽しみだ。オープンする2022年春に向けて、若林さんはいまもサウナ作りに奮闘している。

ABOUT ME
たんぺい
群馬在住のインタビューライター。ローカル・生きづらさ・発達障害・サウナをテーマに記事を書いています。こってりした食べものとサウナが好きです。

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