発達障害

聞こえているけど、分からない。APD(聴覚情報処理障害)と発達障害について

昔から、ガヤガヤしているところで人の話を聞き取るのが苦手だった。

話をしている相手にテストに向かうような気持ちで集中しないと、相手の言葉を聞き取ることがむずかしい。

「聴力検査は問題ないのにな」

疑問に思っていたところ、同じように「音は聞こえるけど、相手の言っていることが分からない」という現象に、名前がつけられていることが分かった。

この聞こえてるのに、話が分からない現象は「APD(聴覚情報処理障害)」と呼ばれている。

比較的あたらしい概念で、医学的にはAPDの定義も診断基準も統一されていない。

なので、ニセ医学に騙されないように注意は必要だ。

でも、APDという症状は日本でも研究している人がいるし、全国的な調査も実施されるくらい困っている人が多いので、おそらく存在する現象なんだと思う。

大人の発達障害も2000年代に入って定義づけられたということを考えると、APDもそのうち定義が定まるんじゃなかろうか。

まあ、医学従事者ではないのでただの感想ではあるのだけど。

APDのことを調べていくうちに、自分もその傾向はあること、APD自体が発達障害と関係していそうなことが分かった。

ということで、APDと発達障害の関係について、書いていきたい。

そもそもAPDとはなにか?

APDについて20年以上研究している小渕千恵先生によると、APDとは入ってきた音を脳でうまく処理できず、話し相手が何を言っているか分からない状態ということらしい。

APDとは、簡単にいえば、ちょうりょくに問題はなく音は聞こえているけれど、人の話し声(音声)を情報として認知するのが困難な状態。つまり、耳から入ってきた音の情報を脳で処理してことばとして理解する際に、なんらかの障害が生じる状態だと考えられています。


自分のことを振り返ってみると、とくにガヤガヤしているところで音を聞き取ることがむずかしい。

声の大きい人がしゃべっている横で電話をしていると、しゃべり声の方に集中がいってしまって、うまく電話の声を聞き取れない。

居酒屋でまわりがうるさすぎると、相手が何を話しているか分からなくなることがあるので、適当に笑ってごまかすこともある。

コロナをきっかけに、パーテーションごしに、マスクをつけて面談することが多くなって、めちゃくちゃ声を聞き取りづらいと感じることも多い。

逆に、ZOOMでの面談でまわりが静かだと、スムーズに会話をできる。

この聞き取りにくい原因をひと言であらわすと、ざわついた場所で特定の話し声を取り入れる、いわゆるカクテルパーティー効果が弱い。

ちなみに、APDの原因はカクテルパーティー効果が弱いことだけではないので、注意が必要だ。

たとえば、APDを抱える人たちの多くは、雑音下での聞き取りが苦手です。ならば、雑音の少ない静かなところに移動すれば問題なく聞きとれるのではないか、と考えるのが普通だと思います。

ところが、実際には、それでうまく聞き取れるようになる人と、それでも聞きとるのがむずかしい人に分かれます。このことから、訴える悩み(症状)は同じであっても、背景には違うメカニズムがあること、つまりAPDを単一の障害としてとらえることはむずかしく、当事者の人たちをひとくくりにして考えてもうまくいかないことがわかります。

小渕先生の調査によると、APDの人は脳機能に偏りがある

小渕先生が実施したAPDの調査では、APDを抱えている人は脳機能に偏りのある人が多いことが分かった。

聞こえる音を処理するのは脳なので、その処理する機能が弱いと話を理解しにくくなるということらしい

脳といえば発達障害、発達障害といえば脳。

APDを抱えている人は4つのタイプに分かれるが、その中でもダントツなのが、

圧倒的、発達障害……!! なんと、半分以上である。

僕たちの脳はいつもはたらいていない、いい加減ちゃんとしてほしい。

で、声を聞き取るのに重要な役割を果たしているのが、下の図のとおり。

覚醒は、頭がシャキッとしている状態。

疲れていたり、眠かったりすると頭がボーッとして話が入ってこないので、話を聞き取るには脳が覚醒しているのが重要。

注意は、下記4つで構成される。

①持続的注意・・・相手の話に集中し続ける

②選択的注意・・・集中すべき声を選ぶことができること。

(カクテルパーティー効果がうまくはたらくこと)

③分配的注意・・・複数の声に同時に注意を向けること

例えば、3人以上の会話でそれぞれに注意し続けるなど

④注意の転換・・・パッと注意を切り替えること。

上記の4つの注意のどれかひとつでも欠けるとAPDにつながる。

ADHDの僕はすべて苦手。まあ注意機能の障害がADHDですからね。

知識は、話をしていることについてどれくらい知っているか。

例えば、ドストエフスキーの罪と罰を読んだことのない人に対して、「自分の孤独さは、ロジオン・ロマーヌイチ・ラスコーリニコフ(罪と罰の主人公の名前)のようだよ」と言っても、たぶん聞き取れない。

「え?なんだって」と返されるのがオチだ。

逆に、罪と罰が大好きな人は、その知識があるので聞き取れる……と思う。

ちなみに僕もこんな長い名前は聞き取れない。

記憶は、いわゆるワーキングメモリー。聞いたことをどれくらい覚えていられるか。

この機能が弱いと、電話応対したとき、メモをとれなかったり、電話が終わった時なにも覚えていなかったりする。

これらの機能が弱くなると、聞いた声を脳で処理するのがむずかしくなる。

罪と罰の知識があって、ワーキングメモリーがつよい人は、電話応対で「ロジオン・ロマーヌイチ・ラスコーリニコフ」という単語がでてきても一発で聞きとれる……はず。

まあそんな場面はないと思うけど。

推測は、聞き漏らしたことばを推測すること。

同じ話ばかりする人と会話する場合、話に集中していなくても対応できたりするが、たぶん経験から言いそうなことを推測しているのだと思う。

ちなみに、聞き取りに重要なのは注意と記憶らしい。

発達障害、聞くための脳機能、弱くないか?

発達障害を抱えていると、聞き取ることに必要な機能が弱い人もいる。

とくにADHDの場合、まず脳は覚醒していないし(だからコンサータが効く)、注意のコントロールはできないし、人によってはワーキングメモリーも弱い。

僕の場合、ざわざわしているところだけで聞き取れないかと思っていたのだけど、ちょっと振り返ってみると違っていた。

話が長くなると、注意が途切れて聞き取れなくなるし、5人以上の会話になると誰がなにを言ったか把握しにくくなる。

作業をしている時に話しかけられるのは、注意の切り替えにストレスがかかるのでめちゃくちゃ苦手である。

ワーキングメモリーが普通くらいあるのと、知っている語彙や経験で仕事や日常会話をどうにかしているのだけど、あらためて振り返ってみると「うーん、APDの傾向がありそうだな」って思う。

まとめ

APDを名乗るには正式な診断が必要だけど、診断できるところもすくないし、いまのところ、なんとかやっていけてるのでとりあえずは必要ないかなと思う。

診断おりても、薬をもらえるわけでもないし。

ADHDの先おくり、不注意、衝動性と折り合いをつける方が優先順位は高い。

もともと音には敏感で、夜中に物音するとすぐに目覚めるし、自分の子どもの泣き声も苦手だしで、聴覚過敏の傾向はあるのに、人の話は聞き取りにくい。

このことをずっと不思議に思っていた。

今回、APDを調べてみて、ADHDの不注意という発達特性が大きく関わっていそうなことが分かってスッキリした。

もし困りごとが大きくなったらあらためて対処法を考えたい。

もしAPDで悩んでいる方がいたら、

のホームページに詳しいことが書かれているのでご参照ください。

また、APDの大規模調査を実施ている研究グループ代表の阪本浩一先生が書かれている本も、基本的な知識が網羅されていて、わかりやすいです。


 

 

 

 

 

ABOUT ME
たんぺい
ぐんま在住。30代。 「日常をちょっとだけ楽しむ」をモットーにブログを書いています。 ブログのメインテーマ:ぐんま、雑記、発達障害、サウナなど

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