発達障害

寄生獣の田宮良子に学ぶ!職場へのADHDの伝え方について

田宮良子(田村玲子)という、アゴが尖っている鋭い目つきの女性をご存知だろうか?

寄生獣という漫画の中で、めちゃくちゃ存在感があり、いまなお熱狂的なファンーー別名:信者――を生み出し続けているキャラクターだ。

見てほしい、

 

あちこちにハネている無造作ヘア、耳たぶと同化してしまったデカピアス、さきっちょのないアゴ。

完全に只者ではない。

さて。

人生のバイブルであり、バイブレーションな寄生獣を知らない方のために説明すると、田宮良子とは、主人公と対立するパラサイトだ。

悪役なのに人との共存を図ろうとするという謎なキャラクターなのだけど、そのミステリアスさが魅力的で、いまなお熱狂的なファンを生み出し続けている。

で、この前寄生獣を読んでいたところ、重大な事実に気づいてしまった。

それは、田宮良子のふるまいが、職場にADHDを伝えることに役立つということ。

我々ADHDは健常者にとってなかなか理解の及ばない存在のため、仕方なくいつも擬態している。

田宮良子は、パラサイトという人間ではない存在なのに、人間であるかのように擬態している。

そう、我々ADHDと田宮良子は、近しい生物なのだ。

そして、田宮良子の振る舞いを観察していたところ、どうやら職場に自分の発達障害を伝えるときに役立ちそうだということがわかった。

このことはオープン就労に切り替えようとADHDを職場に打ち明けてもなかったことにされた、僕には大きな発見だ。

以下、田宮良子の言動がどのように役立つのか、説明していきたい。

1.発達障害のことを話すときに、上司を呼び出す。

最初の関門、それは上司を呼び出すということ。

どうやって、呼び出せばいいのか、なんて理由をつければいいのか、悩むことは多い。

そんなとき、田宮良子のこの言葉を言おう。

 

「あとで、ちょっと職員室にきてくれる」

これは、田宮良子が新一の学校に赴任して、新一の正体に気づいたとき、話し合う場面を設けようとして発したひと言。

 

アポを取る時に要件を伝えるのは社会人の基本ではあるが、その基本をあえて破ることで、上司は「ええ、なんだ、なんだ?」と気になって仕方がなくなる。

「まさかやめるのか」

「まさか2000兆円の損失を出したのか」

こんなふうに、上司が拡大解釈してくれるのだ。

極めつけは、職員室というビジネスの現場では耳なじみのないフレーズ。

耳なじみのない単語は、聞き取ることが難しいので、この職員室というフレーズを聞いた上司は、

「ええ、しょっしょっ、食パンマン?? どういうこと??」

と完全に混乱してしまう。

敵を仕留めるにあたって、錯乱させてから仕留めるというのはアウストラロピテクスが狩りをしていた時代からの伝統。

交渉術の基礎であり究極の技術が、このセリフには詰まっているのだ。

2.どうADHDを切り出すか

さて、無事に職員室に上司を呼び出すことに成功したあなたが悩むのは、どうやってADHDという発達障害を切り出すか。

ここは最難関である。

上司がADHDという概念を知らない可能性もあり、かなり慎重にいきたい。

失敗はできない場面だ。診断書を提示しながら、丁寧な説明を心がけたい。

そんなとき、田宮良子のこのセリフを言おう。

 

「わたしの正体は……知っているわね?」

なんと、相手に回答を委ねるのだ!!

自分で呼び出したのにも関わらず、無礼きわまりない。

 

この言葉は、田宮良子が新一との最初の話し合いで発した言葉だ。

効果としては、あえて相手に考えさせることで、ちょっとした余白と緊張感を生むことができる。

おそらく上司は何も話さず、大便をきばるときのように顔を真っ赤にして、こう考えてくれるはず。

(うん? なぜ、こいつはこんな上から目線なんだろう。クビにしようかな)と。

この緊張感と相手に考える時間を与えることが、交渉のカギだ。

テキトーなタイミングで診断書を出して、「ADHDです」と言おう。

上司は自分の疑問がとけたことにホッとして、「わかった。持ち帰るからまた明日きてくれ」と言うはずだ。

3.2回目の面談でどう切り出すか

さて、2回目の面談。

さすがに、2回も奇襲をかけられた上司は対策をとってくる。

上司の上司、それと人事課長を同席させてくるのだ。

全部で3人。

さすが3人も同時に相手するのでは、降参するしかないと思われる。

が、交渉の達人である田宮良子の名言には、死地に活路を見出すのにうってつけなものもある。

そう、この言葉だ。

「……3人いれば勝てると思ったのか?」

なんの勝負をしているのかは一切不明。

でも自信満々に、口角をちょっとあげながらいって欲しい。

「……3人いれば勝てると思ったのか?」と。

おそらく3人衆もびっくりするはずだ。

4.会議は平行線で、昼飯へ

やがて、3人衆との勝負は長引き、昼飯の時間になる。

さすがに相手もこのままだと決着がつきそうになくてとマズイと思ったのか、まず交流を深めようとする。

「昼飯、ちょっと食べに行こうよ?みんなで」

くれぐれもだけど、この言葉には決してのってはいけない。

敵の懐柔策だからだ。

飯を食べさせて、「ほら、ここは俺たちに譲ってよ」と説得してくる気だ。

相手は正攻法が通じなければ、からめてを使ってくる。

とても卑怯なことをしてくる奴なのだ、3人衆は。

この卑怯さに屈服するわけにはいかないので、この様に言い返したい。

「いま食欲がないのでね」

目を思いっきり吊り目にして、髪を刃物のような形状に変えて、ドスを聞かせた声で言うのがポイント。

3人衆も、目の前で顔が変形した姿を見て、「ひいいっつっ!!」と逃げ出すはず。

だって怖いもん。

完全勝利!!

ここにADHDの勝利は完成する。

そして、会議室にひとり取りのこされたあなたは、事務所に戻ると、他の社員たちが集まってきて、こう尋ねられる

「課長たち、びっくりしていたけど、なにかあったの?」

この言葉には、こう返そう

 

「こんなことで周囲から注目されるのは困る。もう田宮良子はやめだ」

左右の目をつぶり、どやどや感あふれる顔で、意味不明な「田宮良子」という名前を口走る。

同僚もこれには、触れちゃいけないひとだと思うだろう。

「ああ、会議室でなにか聞いちゃいけないことがあったんだな」

と納得してくれるはずだ。

ここに完全無欠の勝利が完成する。

心おきなく会社を去ろう。

なお、このようなことをするとADHDをオープンにするどころか、解雇される可能性が高いので、なるべくやめた方がいい。普通に相談するのが、吉だ。

ただ、もし万が一この方法をやってしまって、解雇されてしまうときはこう言いたい

言っている意味はわからないが、人間に近づけるように自分は努力したんだと相手に伝えよう。

そう、その思いは、きっと伝わるはずだ。

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たんぺい
「らしさ」を伝える取材ライター/企業・専門家・マイノリティ当事者など幅広く取材しています/実績:小学館HugKum、ほ・とせなNEWS、Media116など/サウナ、CBD、こってりしたものが好きです

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